2023/12/24 (日)
エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023 腎性貧血について
エビデンスに基づくCKD(慢性腎臓病)診療ガイドライン2023が発刊されました。腎性貧血について、紹介いたします。
1. 腎性貧血を伴うCKD患者での赤血球造血刺激因子製剤(ESA)治療における適切なHb目標値はどれくらいか?
➡保存期CKD患者の腎性貧血に対するESA投与時にはHb13 g/dL以上を目指さないことが推奨されています。また、目標Hbの下限値は10 g/dLを目安とし、個々の症例のQOLや背景因子,病態に応じて判断することが提案されています。
2. 貧血を有するCKD患者に,鉄剤投与は推奨されるか?
➡貧血を有するCKD患者に対して鉄欠乏状態があれば,鉄剤投与が推奨されています。
※鉄欠乏状態を判断する指標としては TSAT<20%またはフェリチン<100ng/mLとされています。
3. HIF-PH阻害薬適正使用に関するガイドラインについて
➡日本腎臓学会「HIF-PH阻害薬適正使用に関するrecommendation」が2020年9月に発刊されています。その後、有効性と安全性に関する知見が集積されていますが、今回のガイドライン改訂時点において、リスク・ベネフィットを考慮しつつ治療選択を行うべきであるというrecommendationの主旨に変更点はありません。
HIFの持続的活性化によって理論的に懸念される、
悪性腫瘍, 糖尿病網膜症, 加齢黄斑変性症, 肝機能障害, 高血圧, 高カリウム血症, 血栓塞栓症, 血管石灰化, 肺高血圧症/心不全, 嚢胞の拡大, 糖・脂質代への影響
といった安全性の問題のいくつかはESAと比較して中立的な影響であることが報告されています。一方で、現時点では潜在的な影響は未知と報告されている項目もあり、今後の知見の集積が待たれます。
2022年11月、ロキサデュスタットの添付文書が改訂され、重要な基本的注意および重大な副作用として中枢性甲状腺機能低下症が追加されました。